働きやすい職場にするために

教職員の権利シート




(2020.9.14更新)

 2020年7月16日、全教千葉は、千葉県教育委員会と教育条件改善について交渉を行いました。コロナウイルスのため、延期になっていた交渉を、やっと行うことができました。この交渉では、未配置教職員の早期解消を中心に、コロナ禍での教育課程における時数問題や補正予算に関わった内容を議論しました。


「障害児教育部にかかわる要求書」




千葉県知事、教育長宛

「新型コロナウイルス感染拡大防止」申し入れ

 

 今回のコロナ禍により、学校現場では多くの問題が生まれています。

 全教千葉では、学校での感染防止を第一に考えながらも、子どもたちの教育を受ける権利の保障や、教職員の健康維持、今後の教育課程などについて、県が責任を持つよう、2020年4月17日と5月8日に申し入れを行いました。 

 

2020年5月8日付


2020年4月17日付



深刻!千葉県の教員未配置

学級担任がいないなんてありえません。これは、県教委が4月当初から多数の定数内臨時採用(本来正規雇用しなければならない定数内の教職員数を臨時雇用で埋めていくこと)を行っていることと関東では最悪と言われる臨時雇用の労働条件の結果です。全教千葉は、この問題で交渉を断続的に行い、実態を明らかにさせると共に、臨時採用教職員の一定の待遇改善を勝ち取りました。千葉県で234名、船橋市で15名の未配置(12/1日現在 県教委報告)

 

 「今日の担任は○○先生だったよ。明日は誰だろう」
 こんな子どものつぶやきが、少なくない学校で起こっています。
 いま、全国の学校で大きな問題になっているのが「教育に穴が開く」ことです。教師が、産休に入ったり、長期の療養休暇に入ったりしても、その代わりの教師が配置されていません。その学級では、担任が、教務主任の教師だったり、音楽専科だったり、その日によって手の空いた先生だったりしています。中学校や高校でも、担任はもちろん、教科が自習になったり、今まで他学年を教えていた先生が日替わりでやってきたりしています。しかし、簡単に代わりができるわけではありません。教育は信頼関係の前提の上で行われます。誰が来ても子どもに上手に対応しなさい。教師に明日から今までの仕事の上に、新たな子どもたちとの信頼関係を結びなさいと言うのは無理な話です。
 学級に活気がなくなったり、子どもに不安を引き起こしたり、子どもの学習に支障が出たりすることは、教育が正常に行われない状況です。つまり、「教育に穴が開く」状況なのです。

 

なぜ千葉県で大量の未配置が

 

 そのひとつの理由が、非正規雇用の教職員の異常な増加です。現在、全国の学校では、非正規教職員がたくさん働いています。約20万人にもなっています。教職員の5人に1人が非正規という状況です。千葉県でも毎年4月当初に必要な新規採用の教職員は、およそ3000人程度です。しかし県教委はその半分の1500人程度しか採用しません。あとの1500人は最初から非正規雇用にしているのです。非正規雇用でも、教育に情熱を持って取り組もうという教師の多くが、4月でほぼ全部が雇用され、さがしても、見つからなくなっているのです。
 非正規教職員が増加しているのには、国の政策に大きな理由があります。教職員の定数は国が決めているのですが、正規教職員の定数を複数の非正規教員に分割や換算しても良いことになりました。これで、県は正規採用を極端に少なくし、非正規教員に置き換えることで、人件費を低くしていく政策をとっているのです。しかも、千葉県は、全国的に見ても非正規雇用の勤務条件が非常に劣悪で、非正規雇用の教師が他県に流出するので、困難はさらに増していきます。

 

子どもの利益を第一に考える学校に

 

 国は、2011年以来この数年間全く教職員を増やす努力をしていません。定年で学校を去る教師がいますので、結果的に教職員の数がどんどん減っていきます。その上、安易な非正規教職員の雇用を進めているので、学校は輝きを失っていきます。根本的な改善が必要です。子どもが主人公の学校にしていくためには、子どもの利益を第一に考えるべきです。「教育に穴が開く」問題の解決は、国の施策の改善はもちろんですが、千葉県でも、他県に比べて圧倒的に劣悪な教育条件改善のための予算を増やし、必要な数の教職員を正規で雇用し、産休や療養休暇の教師がでても、代わりの教師を用意しておき、穴が開かないようにすることが必要だと考えます。